家具新聞トップページへ
後編 デンマークの家具事情と来日の理由

1953年に設立されたデンマークのPPモブラー社は、高い技術と品質でハンス・J・ウェグナーのチェアを制作する工房として知られている。今回来日したPPモブラー社の職人ケン・ヴィンダー氏(35)にインタビューし、PPモブラーやデンマークの家具事情、来日の目的について話をうかがった。

−PPモブラーのようなやり方を続けている会社はデンマークには多いのですか。

デンマークの家具作りも低コストで大量に生産する企業が増え、PPモブラーのような昔ながらのやりかたをするところは減っています。

−デンマークの家具消費者にも変化があるのでしょうか。

PPモブラー ケン・ヴィンダー氏

デンマークでもイケアのような低価格の家具は人気です。コピー製品については厳しく販売はできませんが、中国製の家具が多く入ってきています。最近ではポーランドからも安い家具が入ってきています。
良い品質のものを買えば高くはありません。次世代、3世代と使い続けることができるのです。価値あるものを伝え、ユーザーを教育するのはとても難しい問題ですが、本物は必ずユーザーに伝わるでしょう。PPモブラーがウェグナーのデザインと品質を守ってつくり続け、生き残っているのは一つの証明です。

−確かに、ハンス・J・ウェグナーとPPモブラーのように、永く世界中から愛され続ける家具があるのは、価格だけではない価値をそこに見出す消費者が必ずいるということですね。それでは、ケンさんが今回来日した目的を教えていただけますか。

今お話したものづくりのお話に関連する事ですが、デンマークには私もメンバーである「デンマーク木工職人連合(モーベルスネッカフォイーニング)」という、コペンハーゲンを中心とした、優れた木工技術を持つ職人の集まりがあります。機械化が進むなか、デンマークの昔ながらの優れた手仕事の技術を残しつつ、新しい方向性を探ることをコンセプトにした集まりです。

−どのような方がメンバーなのですか。

PPモブラー ケン・ヴィンダー氏

平均年齢40歳前後の職人約35名の自主的な組織です。個人の木工職人や、王女様に雇われる宮廷の家具職人、昔からの家具の修理も行う古いお城で働く職人さんなど多彩なメンバーで構成されています。メンバーからぜひ我々の作品を日本で展示したいとの思いが高まり、今回の来日となったのです。

−なぜ日本を選んだのでしょうか。

今まで我々はデンマーク国内はもとより、オランダやタスマニアなど国外での展示会を行ってきました。今回日本を選んだ理由には、デンマークの職人が日本の木工技術や作品に対して高い評価と尊敬の念を持っていることがあります。単なるデンマークの職人の展示会ではなく、日本の家具職人や指物師と一緒に同じテーマで作品をつくり、交流を深めたいと思ったからです。

−日本の木工職人の評価が高いのはなぜでしょうか。

PPモブラー ケン・ヴィンダー氏

何人かのメンバーが実際に日本でその作品を見てきました。実物や写真など、仕事を見ればその技術の高さがわかります。日本の道具のすばらしさもあるでしょう。デンマーク人の家具職人は日本の道具を欲しがります。ドイツ経由で買うことができ、良い仕事をしたい人は日本の鋸、鑿、鉋を買うのです。良い道具があるということは、良い作品と良い職人がいるからです。
実は私も今回東京の月島で鑿を買いました。1年半前に来日した時に発注し、今回ようやく手にする事ができました。100%の満足です。とても良く切れます。ヨーロッパでは機械化がすすんでいるので、手仕事の良い道具はなかなか買えません。日本には品質の高い良い道具があります。

−なるほど。計画された展示会について具体的な進展はありましたか。

今回の来日で、多くの方の協力を得られました。2010年3月に東京で展示会を開催する予定となりました。細かい打ち合わせはまだ必要で、これから具体的な作品テーマなどを検討していきます。

−最後にケンさんからのメッセージをお願いします。

デンマーク木工職人連合からは25名のメンバーが強く参加を希望し、日本の職人さんとの交流を楽しみにしています。個人的には、展覧会に向けて技術的な挑戦、自分に対する挑戦をしたい。自分の限界に挑戦しますので、ぜひ期待してください。

−ありがとうございました。ケンさんをはじめデンマーク木工職人連合のみなさんの来日と作品を楽しみにしています。

TOPへ

Copyright (C)2007 家具新聞の「web家具新聞」 All Rights Reserved