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ケルン国際家具見本市にはメーカーが出展するだけでなく、「D3デザインタレント」の会場も毎年併設されている。これは若手デザイナーによる「コンテスト」、まだ大手流通ルートにのっていない製品を集めた「プロフェッショナル」、そして大学や専門学校が参加する「スクール」の3部門で構成されている。 中でも「コンテスト」部門は毎年、世界中から学生や若手デザイナーが応募する大規模なものだ。今年は862作品が応募、28点がセレクトされて展示され、バイヤーや若い来場者で連日賑わっていた。
第1位を獲得したのは、イタリアのハリー・ターラー氏がデザインした”Pressed Chair”。同氏の英国王立美術アカデミーの卒業制作だ。名前の通り、薄いアルミシートをプレス加工し、脚と背もたれの部分を折り曲げて成型した椅子だ。完成品は軽いだけでなく積み重ねることもでき、不要になれば100%リサイクル可能。「低コストと環境への配慮を同時に実現したかった。1平方メートルのアルミシートから椅子1脚とスツール2脚を作ることができます」とターラー氏。強度を増すための合金技術に工夫があるという。もう一作、スウェーデンから出品された折りたたみ机“OLA”(オスカー・テルンボルン&ペター・ダニエルソン氏のデザイン)が、”Pressed Chair”と1位を分けた。
受賞には至らなかったが、来場者が必ず足を止めていたのが、スタンド照明 ”Tafelstukken”(「卓上のオブジェ」)である。オランダのダフナ・イザックスとラウレンス・マンデルスの両氏がデザインした。木と磁器がかもし出すほのぼのとした持ち味が特徴で、ランプの下の器には果物や雑誌などを入れることができる。ほのぼのとした持ち味だ。「照明器具というよりオブジェ。アンティークのように愛情をもって使ってほしい」とマンデルス氏。同氏自身は帰宅するとスイッチを入れ、受け皿の中にキーホルダーや財布を入れている。イタリアのデザイン会社カッペリーニのバイヤーが「セクシー」と形容したそうで、既にフランスで販売実績があるという。
一方、「プロフェッショナル」部門で最も注目されていたのは、“Unseen Products”(本社オランダ)のブースだ。同社は3年前に設立され、ヨーロッパ発のデザインを発展途上国で生産し、先進各国で販売している。「これまで“フェアトレード”はチャリティ精神が先行して、製品そのものに魅力がなかった。良いデザインを加えれば、目的は同じでも製品力がアップしビジネスとして成立します」と同社のハイン・コップ社長はにこやかに語る。現在、ネパール、インド、ペルー、ボスニアなどで生産した約140点のアイテムを扱い、売上利益の90%を産地に還元している。
このほか、安価な段ボールの中芯を意図的にデザインに利用、実用性と環境への配慮をアピールした子供用家具の“UOCU”、これと正反対に最高級素材を使い、1点の製作に3週間をかけるコレクター用の限定版テーブル“Colander”なども来場者をひきつけていた。日本人デザイナーではスウェーデン在住の石川玄氏がベニヤ板とグラスファイバーを使った照明器具を、東京のグループesperimentoがマテリアルミックスの椅子と机を出展。計30のブースにデザイナーそれぞれの個性があふれ、終日活況を呈していた。 ![]() Colander
(2011/03/23) |
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